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リレーフォーライフ体験記インニューヨーク

2008年の春、満40歳になったとき、生まれて初めて受けたがん検診で、GISTという悪性肉腫が胃噴門部に見つかりました。肉腫患者はがん患者 全体の1~2%といわれています。肉腫は小児がんには多いけど、成人にはまれにみられるがんで、成人に発祥したら、殆どの肉腫は抗がん剤でやっつけること も、放射線で焼くことも出来ません。

 

「がん」を宣告されると「なぜ私が?」とか、「私はもうすぐ死ぬんだ」という言葉が頭に浮かぶ人がほとんどだと思います。でも私の中に浮かんだ言葉は『I’m gonna beat it for sure!』(絶対やっつけてやる!)でした。

 

私がリレー・フォー・ライフというイベントを知るきっかけになったのが、現在リレー・フォー・ライフ福岡の実行委員長をされている、はるちさんのブ ログです。はるちさんとは2004年にブログで知り合いました。当時私はがん患者遺族として、沢山の親戚を子供の頃から見送ってきたので、「がん」という 病気はとても他人事には思えませんでした。日本で開催されたリレー・フォー・ライフは1回目からはるちさんのブログを通して、遠い熊本から気持ちだけ参加 していました。

 

はるちさんのブログに出会い、リレー・フォー・ライフというイベントに出会ったおかげで、私のGISTは早期の段階で見つかることができたと思って います。GISTという肉腫は10年前までは治療法は手術以外なかったのですが、アメリカのリレー・フォー・ライフの収益金から白血病の治療薬として開発 されたグリペックという抗がん剤がGIST治療に効果があることがわかりました。私達GIST患者はグリペックのおかげで多くの命が救われています。

 

グリペックがGISTの治療薬として使われ初めて10年という節目を向かえた今年の6月、GIST Life Raftという世界中のGIST患者 を結ぶ患者会が開かれ、過去10年を振り返るという企画が行われました。私はこの会に参加するため渡米することを決めました。そして、折角渡米するなら本 場のリレー・フォー・ライフに参加したいと思い、6月19日にニューヨーク州ブルックリン市のリレー・フォー・ライフと、6月26日にニューヨーク州アス トリア市と、二カ所のリレー・フォー・ライフに参加しました。時間の都合上アストリアには2時間ほどしか参加できませんでしたが、ブルックリンには開会式 から閉会式まで参加しました。

 

ブルックリンでは、日本と同じようにまず一般受付にて受付を済ませました。ここから福岡と違ったのはサバイバーだと告げると、サバイバー受付に移 り、サバイバー歴(がんだと診断が下った日、もしくは手術の日)、がんの種類、名前などをサバイバー帳に記入し、紫のサバイバーTシャツを受け取りまし た。その後はオープニングセレモニー(開会式)までサバイバーズ交流テントにて、ボランティアや協賛企業が持ち寄った食事や飲み物をとりながら沢山のサバ イバー同士で話をすることができました。

 

また会場で売っているものや、その他何もかもお金に関することはほぼ100%寄付
として、アメリカ対がん協会への寄付となっていたようです。

 

オープニングラップ(サバイバーズウォーク)は沢山の人の拍手ととびっきりの笑顔で、私達サバイバーを称えてくれました。開会式では、サバイバーの 名前とサバイバー歴をアナウンスされ、サバイバーは前に出て、サバイバーズメダルを首にかけてもらい、沢山の拍手で称えられました。私が今まで体験したリ レー・フォー・ライフと違うのはサバイバー1人が称えられるのではなく、そのサバイバーの闘病生活を支えたCaregiverも前にでて、 Caregiverのたすきをかけられ、一緒に称えられることです。

 

がん患者は、1人で乗り切ることはできなくても、支えてくれる人がいるから乗り越えられる山もあるのだと思います。 私の場合は沢山の卒業した親戚と余命を宣告されながらも、その宣告を聞く耳持たず無視して今もなお元気にしている仲間が支えてくれていると思います。

 

がんは特別な病気ではなく、誰でもかかる病気だと認識され、多くの人ががん検診を毎年受ける意識を持ち、一日も早く『がん=不治の病』という定義か らはずれられるように、これからもリレー・フォー・ライフを通じ、がん早期発見、早期治療を訴えていきたいと、ニューヨーク州でリレー・フォー・ライフに 参加して改めて、心に誓いました。

 

津埜麻由美