”自分らしく、アナタらしく”

2014年03月26日(水)

今回は、徳島のリレー・フォー・ライフ・ジャパン実行委員会の方からの記事です。リレー・フォー・ライフはグラウンドなどの広場で行われる場合が多いですが、2013年の徳島市開催では地元商店街で、商店街や地域のみなさんに見守られながら行われました!

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地元の皆さんへのご挨拶や説明には必ず一緒に行ってくださった、
商店街のサバイバー店主さんと。

2009年6月、父は地元徳島から遠い千葉の地で単身赴任中に肺がんと診断されました。
母が父のところへ駆けつけましたが、私は仕事もあり、すぐに行くことは出来ず、がんの告知を受けたときの驚きや心細さを電話越しに感じながら、傍に居て寄り添いたかったなという思いが今も胸に残ります。

親の深刻な病気はまだ先だろうという楽観的な私の予想は、根拠のないことだったと感じるのは、もっと時間が経ってからで、その時はがんが突然私たち家族の中に土足で入ってきたような感じがしました。
父は千葉で3か月間抗がん剤での治療を受け、その後徳島へ帰り、自宅で最後の時間を過ごしました。その道のりは、父自身にとっても家族である私たちにとっても初めて経験することも多く、優しい時間を紡いでいきたい気持ちの一方で、不慣れさで衝突することもしばしばありました。けれど、何層にも重なっていく時間の中でそれも日常になりつつあった頃、父は静かに亡くなりました。

父が亡くなった後、ぽっかりと空いた胸の隙間を見ないようにしていましたが、ふと父の療養中に耳にしたリレー・フォー・ライフのことを思い出し、少しの興味で実行委員会に足を運んでみました。

ちょうど父と同じくらいの男性が居て、たまたま隣に座った席で、いろんな話をしました。サバイバーであるその男性の日々の希望や不安。生きがい、そして今の療養生活、やりたいこと、やれないこと。その姿は父にとてもよく似ていて、私はその人を通して、父の言葉を聞いたような気がしました。
そしてまた、私の思いもその人を通して父に届くような気がしました。

それまで、上手く言葉に出来ず、もやもやしていた気持ちが少し整理出来たような気がして迎えた当日。その24時間のなかにいくつもの思いが積み重なっていて、ただそこに居て気持ちを共有したり、お互いに思いやることが出来る不思議な空間を経験しました。

もっと身近にリレー・フォー・ライフの場所があればいいな。そう思えたのは、リレー・フォー・ライフに私自身、居場所を見つけることが出来たからかも知れません。
徳島市内でもリレー・フォー・ライフを開催したい。そしてその場所でいろんな人たちが気軽に、また優しく語り合える時間が拡がるといいなと思うようになりました。

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「リレー・フォー・ライフジャパン2013とくしま」当日、
商店街の入り口に掲げられたとくしま実行委員会フラッグ。

2012年の徳島市内での初開催は、誰もがわかりやすい、訪れやすい場所にしたいと、市街地にある新町川水際公園で行いました。けれど、私たちの思いとはうらはらに台風の直撃という直前の予報、開始して2時間後には、夜越えなど到底出来る状態ではなくなりました。

開催は9月なので、雨天や台風の可能性は高いものの、それでもまさか!と言う思いでした。新町川水際公園と平行して、東新町商店街というアーケード商店街があります。アーケードに守られているその環境は参加される人にとってはとても優しいものです。けれど商店街の店舗は皆さん営業中で、事前に雨天の場合の受け入れのお願いを受けて頂いてはいるものの、現実に場所を移動して開催を続けられるのだろうかという不安でいっぱいでした。時間を追うごとに雨脚も強まり、台風はどんどん近づいてきます。初開催にして、台風、そして場所の移動。混乱しつつ、どたばたと慣れない大移動が始まりました。

あたたかい、みんながゆっくりと気兼ねなく過ごしてもらいたいと言う思いから始まったリレー・フォー・ライフは、大騒ぎとなっていきました。
けれども、そんなばたばたのなかで、参加された方々や、商店街の人たちが一緒になって机を運んだり、開催を続けられる場所つくりをしてくださる光景は、今でも忘れることが出来ません。あたたかい場所や、空気、その時間は、私たちが一方的に作り出せるものではなく、みんなで一緒に作っていくものだからこそ暖かいんだと感じた瞬間です。

初開催から1年後。今度はリレー・フォー・ライフのすべてを、雨から避難させてくれて、迎えてくれた東新町商店街で行うことになりました。
サバイバー、家族の皆さんはもちろん、実行委員として関わる人たちだけではなく、地域の皆さんや、さまざまな立場や環境の人たちが集まることによって生まれた“リレー・フォー・ライフ・ジャパン2013とくしま”。他地区と違って、たくさんのテントもなければ、大掛かりなステージもありません。けれど、そこに集まったサバイバーや、たくさんの方々のために、商店街の皆さんが空き店舗を用意してくださいました。また、商店街に来られた人にもリレー・フォー・ライフを知ってもらう機会にも繋がりました。

がん患者や、その家族は、がんをきっかけに生活環境や、行動範囲が変わっていく人も多く、今まで携わってきた仕事や役割から離れなければならない人もいます。けれど、慣れ親しんだ商店街の場所で、リレーをすることで、地域や社会との繋がりをもう一度再発見し、また不安に思う気持ちをそっと置いてかえれる場所に、あたたかい場所がある心強さに繋がっていくような気がしています。

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プロフィール
香留 美菜(かとめ みな)
徳島市在住。昭和43年生まれ。
リレー・フォー・ライフ・ジャパンとくしま実行委員長
NPO法人AWAがん対策募金理事
4年前、父が肺がんになったことをきっかけにがん患者会や、NPO法人でがん患者支援の活動に関わる。リレー・フォー・ライフでは5年生になろうとしていますが、毎年拡がっていくいろんな思いに力をもらいながら、今年もまたあの場所で、たくさんの笑顔に会えるのが楽しみです。

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