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一人じゃないと教えてくれたリレー・フォー・ライフ

2016年2月25日

30歳、初めて届いたがん検診のはがきで乳がんと診断され、その後18年にわたってがんと付き合いながら暮らしているという貞野さん。リレー・フォー・ライフは徳島の小松島に参加したのが最初でした。

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私は、平成10年10月、30歳になり初めて届いたがん検診のはがきを持ち乳がん検診に行き、レントゲン、マンモグラフィー、エコーの3つで異常がみられ、その場で乳がんであると言われました。

がんと診断されなかったのは、その日行った生検だけでした。

しかし、それは病巣部分まで届いていなかった為、陽性と結果がでなかったのです。

右乳房にしこりがあるのはその7ヶ月程前に自分でみつけていましたが、当時、看護学生で実習が始まっていたのでそのままにしてしまいました。

先生からは初期のがんで非浸潤性乳がんなので温存手術で大丈夫とのことでした。それから2週間後に日帰り手術をうけました。摘出した腫瘍を見せてもらい、これで心配はないと言われ、ホッとして帰宅しました。

一週間後、予想していなかった結果が・・・

それは、乳管をがんが突き破り、右乳房内にがん細胞が散らばり温存だけでは難しい、全摘が必要であると。学校卒業まで手術をしなかったらどうなりますかと問うとたぶん進行して助からないかもしれないと言われた。

正直、乳がんと言われた時よりショックであり、今でも忘れられません。

なんでと言う気持ちと私だけがという気持ちで家に帰り、夜に主人に話しました。主人は号泣したまま何も言いませんでした。

温存手術から約1ヶ月後の全摘手術まで実習に参加し、忙しく時間が過ぎていきました。

手術の日には主人と両親、兄弟が来てくれました。友人も手術を知り来てくれました。

手術中、いろいろハプニングもあったそうですが無事に済み、10日ほどで退院しました。抜鉤(ばっこう)せず退院したので入浴後は自分で処置し、2日に一度通院しました。

それからまっすぐに歩けない、ホルモン療法での吐き気、嘔吐、肝障害で治療中止となり肝治療を一年以上しました。2年後には喘息、多発性関節リュウマチとなり現在内服治療をしています。リンパ浮腫にもなりました。

40歳ではその3年前より卵巣嚢腫で通院をずっとしていたにもかかわらず、担当医師が変わってすぐに子宮がんと言われ、左卵巣と子宮摘出術をうけました。

がんになり同年代の患者さんと知り合わずにきたこともあり悩みも相談する人もなく病気だけが増えていきました。30歳のころより更年期障害にもなっていましたが、40歳で症状がひどくなっていました。病室の窓から景色を見ていると、このままここから飛び降りたら楽になるのではと思ったりすることがありました。

つらい気持ちで過ごしたとき、そばで主人は病気の事には触れず、旅行に行きたい、遊びに行きたいというと連れて行ってくれ、私のわがままにいつも笑って付き合ってくれました。

5年ほど前に友人がリレー・フォー・ライフ小松島に誘ってくれましたがその時は聞き流してしまい参加しませんでした。

その後、弟が実行委員長となり手伝ってほしいと言われ参加しました。

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ルミナリエを初めて見た時の美しさ、キャンドルの温かさ、そしてなによりたくさんのがん患者さんに知り合うことができ、話をすることで一人ではないと感じました。

翌年は実行委員となり参加をしましたが去年一年は実行委員にはならずサバイバーとして当日参加だけしました。仕事場が淡路、神戸となったためでした。

一年に一度しか会えない友、遠くから参加してくれた新しい友、参加したくてもできなくなってしまった友もいますが、ここにくれば一日がゆっくり流れ優しい気持ちになれます。友と語り、頑張る力をもらい、また一年頑張ろうと思える一日です。

でも初めて参加した年だけしかしていないことがあります。それはフラッグに手形を押すことです。私の中では来年も来るから今年はしない、今度来たとき、次に来ることが難しいとわかれば押そう、その時は最期だと思い、しないときめている。

一つ残念なことは、ずっと私を支え、見守ってくれ、良き理解者であった主人とリレー・フォー・ライフに一緒に参加したかったのですが昨年11月に急死したため今は叶わなくなってしまいました。

現在 45歳の時に左乳房に石灰化がみられ再発と言われ定期的に受診をしています。

春には神戸から郷里徳島へ帰り、またリレー・フォー・ライフ小松島の実行委員として参加する予定です。

がんという病気となり18年近くになりますが、辛いこともありましたが、家族以外にたくさんの仲間と知り合い、支えられ、助けてもらいました。

本当に感謝でいっぱいです。

リレー・フォー・ライフを通じて、検診の大切さ、そしてがんで苦しむ人が一人でもなくなり、患者、家族が涙することが無くなる社会を目指し、微力ながらそのお手伝いができればと思っています。

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プロフィール
貞野佐奈江
徳島県名東郡佐那河内村出身
1998年 右乳がんにて温存、全摘出術 リンパ廓清
2008年 左卵巣 子宮摘出
2013年 左乳房に石灰化あり再発と言われ現在経過観察中
2014年 RFL小松島に実行委員として参加
2015年 サバイバーとして参加

今年はできれば実行委員として参加したいと思っています。
RFL小松島は全国でも小さなところですがアットホームです。公園での開催のため小さな子供たちが親と遊びに来たり、犬を散歩させに来たりする人たちもいます。
ルミナリエのキャンドルの優しい灯火を今年も見たい、たくさんの人の笑顔が見られることを楽しみにしています。