小渡章好さん(RFLJ2015八戸実行委員長)
*** 受賞のコメント ***
受賞は望外の光栄です。この栄誉を八戸の仲間と共にいただき、青森の皆さんともシェアします。鈴木牧子さんに感謝です。
「がんになって良かった。仲間と一緒に毎年RFLができるのが何よりうれしいから」と言うサバイバーの方たちがわたしたちの背中を押してくれます。
二人に一人ががんになり、三人に一人ががんで死ぬ、日本の現実は人類史上最悪の事態だと理解しています。この状況を改善するためにもっと力を出し合おう、との強い励ましをRFLの本家・先達からいただいたと受け止めており、心新たに取り組みたいと思います。
*** エピソード ***
65歳の時に大腸がんと診断された後、小渡さんは、多くの人が、がんと診断された事実を隠していることを知り、衝撃を受けました。同じ地域に、こんなに沢山のがんサバイバーがいるなんて、想像だにしていませんでした。
「自分ががんだということを告げると、主に二種類のリアクションがありました」と小渡さんは言います。
幾人かの人は、親切心から、あまりオープンにしない方が自身のためだと言い、その他の人は、驚いたことに、自分もがんだが今まで誰にも言えずにいたと言うのです。
そのどちらも、がんが、地域でタブー視されているという証でした。こんなに沢山の人が、偏見を恐れ、ひとりでがんと向き合っていたことを知り、彼の心は痛みました。そして彼は、このような状況は変えなければならないと感じ、RFLを開催することを決意したのです。
化学療法の最中であったにも関わらず、小渡さんは初めてのRFLの実行委員長を熱意を持って務めました。その熱意の源は、無私無欲の周りへの思いやりの心でした。「多少の副作用はありましたが、もっとつらい治療や状況を抱えているほかのサバイバーさんに比べれば、なんでもありませんでした。その人たちのために絶対にRFLを開催したかったのです。」
小渡さんと奥様は、がんを乗り越えるために必要な知識と勇気をRFLから得ました。サバイバーやケアギバーにとって適切な情報や知識を得ることがこの病に立ち向かう上でどれだけ重要であるのかを知った彼は、現在がんの啓発活動を地域で行っています。
小渡さんは、次の世代のためにも、がんに対する偏見を無くし、サバイバーとケアギバーが安心して自らの経験を共有することができる地域社会を作るために、RFLが大きな役割を果たしてくれることを願っています。
「『健康とは完全に、身体、精神、及び社会的によい状態であることを意味し、単に病気ではないとか、虚弱でないということではない』とWHOにより定義されていますが、これこそが、私がRFLを通して、皆に得てほしいと願っていることです。」と小渡さん。「それがRFLでなら可能だということは、RFLでサバイバーさんたちが見せる満面の笑顔が証明しています。」この笑顔が、彼の努力の原動力となっているのです。
3回目のRFLを終えた今、地域社会を変えたいという小渡さんの決意は今も依然として強いままです。