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【岩手】世界遺産のまち「平泉」から~岩手県で初開催

 「リレー・フォー・ライフ2012 in いわて」(小野寺藤雄実行委員長)が9月15日(土)と16日(日)に、岩手県平泉町の観自在王院跡で開催されました。岩手県では初開催、そして世界遺産・平泉での開催とあって市内外から大きな注目を集めました。会場の観自在王院跡は、奥州藤原氏二代基衡公の妻が建立したと伝えられる寺院跡。隣にある毛越寺も、特別史跡と特別名勝の二重指定を受けている全国でも8例しかない日本を代表する庭園です。そんな世界遺産の会場から、全国のみならず世界へ向けてRFLを大きく発信できたことにも意義があります。

 今年は、福島・宮城・岩手の東北の被災地3県でRFLが開催されました。これをお祝いして、アメリカ対がん協会のアイリス・ペンダーガストさんから岩手実行委員会に対してメッセージが寄せられました。開会式で日本対がん協会東北ブロックスタッフの鈴木牧子さんが「平泉開催の実行委員会の皆さま、おめでとうございます。日本から私たちは感銘を受け続けています。ご盛会を祈ります。皆さんが、がんと向き合うたくさんの方たちの暮らしを変えていくでしょう」と代読すると、参加者から大きな拍手が起こりました。

 当日は白い雲と真っ青な空が広がる快晴の天候。開会式では、菅原正義平泉町長らが祝辞を述べ、長島小学校合奏団の軽快なマーチング演奏に続いて、サバイバーズウォークが行われました。リボンの会、アイリスの会など約50名のサバイバーが参加し、晴れやかな笑顔でステップを重ねました。参加者からサバイバーを讃える拍手が起こると感動して涙ぐむサバイバーの姿も。一斉ウォークでは42チームが参加しました。一関病院、岩手医大「がん患者・家族サロン」、一関歯科医師会、toU、ソニー生命など各チームが思い思いのフラッグを手にして楽しそうにウォーキングする姿が印象的でした。初開催でしたが、多くの参加者の願いや思いがひしひしと伝わってくるような笑顔がこぼれる一斉ウォークとなりました。

 ステージでは、郷土色溢れる様々なプログラムが行われました。合唱で有名な岩手県ですが、一関合唱団や一関修紅高校音楽部は東北復興支援ソング「花は咲く」を歌いました。この曲は参加者も自然と口ずさみ、皆が思いをひとつにして曲を歌い上げました。祝い餅つき振舞隊は、餅つきでRFLの開催をお祝いしました。一関地方の餅つき歌を歌いながらリズミカルに餅がつかれる姿に参加者から手拍子が起こりました。その後参加者も混じって餅つきが行われる等周囲は楽しい雰囲気になりました。お祝いの時しか使わないという千本杵を餅と共に高く持ち上げた姿は圧巻でした。早速出来たてのお餅が参加者に提供され、皆さん美味しそうにお餅をほおばっていました。


 また、毛越寺のご協力によりRFLの参加者向けの拝観ツアーも行われ参加者に大好評でした。

 ブースやチームのテントでは、おかしつりや似顔絵描き等が行われ参加者で賑わっていました。

 夕方からは、杉浦貴之さんのミニ講演&ライブが行われました。杉浦さんは、がんサバイバーホノルルマラソンツアーを計画するなど「命はやわじゃない!」と精力的に活動されているサバイバーさんです。余命半年と腎臓がんの宣告を受けたのが1999年。13年経って、今現在は「がんになる前よりも元気で幸せに生きている」そう話す杉浦さんの講演と歌に、多くの参加者が熱心に耳を傾けていました。

 周囲が暗くなり始めルミナリエ・セレモニーが始まると会場内が静謐な空気になりました。LEDのあかりが日が暮れていく観自在王院跡に灯り始めると、景観雅な庭園が一層際立ちました。極楽浄土を表現したというこの庭園は、亡くなった方の追悼と今ある命を讃える舞台として幻想的な美しさを醸し出していました。被災地である岩手県では、震災でも多くの方が亡くなりました。津波にのまれて命を落としたサバイバーも数多くいます。「頑張ろう岩手」「頑張ろう東北」ルミナリエ袋に書かれた様々なメッセージには、そんな岩手の方の鎮魂の思いを強く感じました。魂が鎮まる思いを感じると共に、がんで亡くなった人々を決して忘れないという誓いを参加者が皆共有しました。エンプティテーブルが終わると、さっと通り雨が降りました。あるサバイバーは「天に昇った人達の喜びの涙雨だと思った。」と話してくれました。実行委員が時間をかけて準備したというエンプティテーブル。その思いは多くのサバイバーにしっかりと伝わりました。トラックでは夜中になっても歩き続ける人の姿は途切れませんでした。

 二日目はヨガのラジオ体操からスタート。この日も、一関修紅高校の合唱や一関夢限大のよさこい、ドリームキッズの歌声が芝のステージを盛り上げました。芝の上でくつろぎながら聴く参加者の姿が印象的でした。多くの方が楽しんでいる雰囲気が伝わってきました。

 ラストウォークでは、24時間歩き続けた参加者が皆笑顔で参加しました。サバイバーズウォークでは、疲れを感じさせない足取りでトラックを一周する姿が印象的でした。閉会式では、グッドサポーターの表彰が行われ佐藤隆次副実行委員長の「また来年も会いましょう」との閉会宣言をもって全てのプログラムが終了しました。

 今回初めてRFLに参加したサバイバーが多く、お話を伺うと皆さん口ぐちに「良かった」「感動した」「友達に伝えたい」と笑顔で話してくれました。サバイバーズラップで多くの拍手をもらい「自然と涙がこぼれてきた」と話す方もいました。参加したサバイバーの中には、宮古で被災し津波で家が流され盛岡に移り住んで来たという女性もいて震災の影響を受けたサバイバーも多かったRFL岩手。一関病院長でもある副実行委員長の佐藤隆次さんは、今でも陸前高田の診療所に定期的に足を運んでいるそうです。そんな状況下でも、「負けない」「絆」「希望」というメッセージを力強く発信し、地域の医療関係者や行政などの支援を受けて初開催という第一歩を踏み出しました。当日もボランティアとして平泉町役場やソニー生命など多くの方が参加してくれました。ソニー生命からは岩手の他に青森や秋田からも駆けつけてくれた人がたくさんいました。RFLに参加出来た喜びを笑顔や涙であらわすサバイバーの姿に、もらい泣きをする佐藤副実行委員長の姿がありました。一関病院のスタッフが中心となって地域に根差したRFLを開催した岩手実行委員会。彼らの全ての参加者に対する優しさと思いやりが岩手のサバイバー、ケアギバーに多くの勇気を与え、HOPEの思いを強く感じた大会となりました。