十九回目のリレー・フォー・ライフ(2025年9月13日)
「へー、RFL芦屋は十九回目だったのか。私の胃を全摘したのと同じ年に始まったのだな。何か親近感を感じるなあ」これまで三回か四回参加しているが、私の全摘手術と同じ回数だなんて思ってもいなかった。そして、夜通しランをするというのは日本では初めてのRFLという。「よし、気合を入れて参加しよう」九月六日(土)参加予定。午後、JRで出発。
芦屋の会場に着く。「ランに申し込んでいる皿海です」「ありがとうございます」受付を終わるとサバイバーフラッグで手形を押し、思いを記す。「へー、ここの会場はケアギバー(がん患者を支援する人)フラッグも作成するのか。じゃあ参加した人のほとんどが手形を押すことができるな」よい試みだ。
会場を見学していると、実行委員の方に交流テント(かたり亭)に誘われた。そこでは三~四人でがん体験を話し合う場所。そこでの主な会話を記してみよう。
「皿海さん、RFL芦屋に参加されるきっかけは?」「神戸のロードレースに参加していたらⅯさんに誘われたからです」
「RFLは紫が基調と思っていたのですが、広島のTシャツは黄色なのですね」
また、次のような話も出た。「私はがんになってよかった。ならなかったら、ずっと大酒を飲んでいて、脳梗塞になって倒れたのではと思う」とおっしゃる八十六歳の方。
「私は自分で乳がんを見つけた。医師に検査してもらっても『わからない』と言われる。エコー検査の時、『この角度から見ればわかるのでは』と私が言うと『確かに映っている』と言われ、乳がんの1Aとなった」
「希望の会(スキルス胃がん患者・家族の会)」でお世話になっている岡山のⅮさんと会うことができ感激。先日ズームで消化器がん担当の医師との話し合いのことが話題となった。
「ヘアドネーション」と言って、長い髪の方が美容師さんにカットしてもらうコーナーには今年もジーンときたというか、胸が熱くなる。カットした髪はウイッグの材料となる。周りには家族や知り合い数人の方がしっかり見ている。
さて、キャンドル・ライトセレモニーの開始となる。ここで感動したのはsinger KOZさんの登場。この方、最初に登場したのは父のケアギバーとして。だけどその後、自身が舌がんとなる。「舌がんと聞いた時、歌をあきらめようと思いました。だけど肩を貸してくれる人、背中を押してくれる人、多くの方の支援でリハビリに励み、ここまで歌えるようになりました」と言って歌ったが、伸びのある素晴らしい歌声。「本当に舌がん経験者なの」と感じた。
そしてキャンドルホープの作成。参加者にプラスチック製のカップにロウを詰めて作ったろうそくが渡される。それをステージ前に記した「HOPE」という文字の上に置いていき、完成。こういうやり方は一人ひとり参加した人で作り上げるので、良いなと感じる。
二十時三十分、いよいよキャンドルランのスタートだ。RFL神戸では雨天だったのでほとんどランをせず、ウォークでの参加だけに待ち遠しかった。明日八時三十分までの十二時間のラン、ゆっくりスタート。
チームで参加の人たちは交替があるので初めから全力疾走してもよいが、個人参加はマイペースが大切。「よし、よし、これなら順調」
「あれ、変だぞ」五キロばかりランしたところで両足が攣る(痙攣する)。しばらく休んだが、良くなるどころか痛くてたまらない。何とか頑張って救護用テントへ行き、「足が攣りました」と言う。
「攣ったところはどこですか」と言いながら私の足に触る。「熱を持っているようですね」と言い保冷材のようなものをばんそうこうで足に接続してくださる。「今日は水分を飲んでないのでは」と聞かれる。「はい、今日は気合が入っているからかほとんど飲んでいません」「じゃあこれを飲んで」と経口補水液三百ccくらいのをいただく。
「汗をかくと塩分が出ます。これだけでは足らないので自販機でスポーツ飲料を買ってしっかり飲んでしばらく休んでください。そして最初はゆっくり歩き、大丈夫なようならランしてください。今日は無理をせずにお願いしますよ」と言われる。そしてしばらく足を延ばしたり縮めたりしてくださった。
しばらく休憩すると楽になる。「ありがとうございます。もう歩けるようです」救護テントを離れ、自販機まで行きアクエリアスとポカリスエットを購入する。自由交流テントでランする人を見学しながら休養。まだ時折痛みを感じるが、だんだん楽になってくる。
「おっと、少し眠ったようだ」早寝早起きの私に取り、夜中は苦手。だけど今夜だけはぼつぼつではあるが、歩いたり走ったり休憩したりを繰り返したい。
夜が明け始めると、RFLのシンボルカラー紫の空になる。もう明るくなるのは時間の問題。私のランはもう問題ないだろう。救護テントの前をランしていると「大丈夫ですか?」と声をかけてくださる。「はい、ありがとうございます。ほかの方にもよろしく」私が診てもらった時より人員は減っている。夜が更けていくとともに帰られた方もいるのだろう。
水分補給のため、給水所でお茶をいただき飲む。また、おなかがすいてきたのでバナナもいただく。
ようやく八時三十分となり、ゴール。ゴールするとみんなでもう一周。疲れていてもみんなうれしそうな顔。
その後ステージの前で閉会式。私は知人Mさんの横断幕を二人でもって整列。キャンドルランの表彰式があり、集合写真を撮る。「えっ!」芦屋高校書道部の横断幕には「来年どうしよっかな」と記されている。実行委員長が言う。「実行委員長、実行委員だけでなく、皆さんで考えましょう。皆さんがやろうといえば、やります」会場から「開催しよう」という声が起きる。書道部の横断幕はひっくり返り「九月五~六日開催」と出る。私としても記念すべき二十回目だけに何らかの形で参加したい。
閉会式も終わり、受付に行く。キャンドルランの賞状をいただく。今回は約三十キロ。昨夜足が攣ったのでこんなものかもしれないが、フルマラソン完走の経験がある私は少なくとも四十~五十キロはランしたいという思いで参加した。この辺りは今後の課題だな。でもいろいろ交流できて楽しいRFL芦屋だったな。また、来年も参加したい。そしてお互いの二十年を祝いたい!













