MOD Awardees Profile プロフィール
氏名:鳩貝 健
Name:Ken Hatogai
現所属: シカゴ大学医学部血液腫瘍内科/病理学部門
Current working institution (Department / Section):Department of Medicine-Section of Hematology and Oncology/Department of Pathology, The University of Chicago
留学時所属:国立がん研究センター東病院消化管内科/国立がん研究センター先端医療開発センターバイオマーカー探索TR部門
Institution where employed when he/she went abroad for MOD:Department of Gastrointestinal Oncology, Hospital East/Division of Biomarker Discovery, Exploratory Oncology Research and Clinical Trial Center, National Cancer Center,
出身大学:千葉大学Graduate school:Chiba University,
研修先(MOD institution):シカゴ大学医学部血液腫瘍内科/病理学部門MOD institution:Department of Medicine-Section of Hematology and Oncology/Department of Pathology, The University of Chicago
研究室(Laboratory at MOD institution): Gajewski研究室/Gajewski laboratory
メンター(Mentor):Thomas Gajewski, M.D., Ph.D.
研修期間(Dates):2018年1月~現在/Jan 2018 to Present,
研究テーマ(Research theme):
腫瘍微小環境における免疫細胞の相互関係の解析 / Relationship of tumor infiltrating immune cells in tumor microenvironment
癌遺伝子異常と抗腫瘍免疫回避機構の関連性の解明 / Relationship between oncogene alteration and escape from anti-tumor immunity
研究成果(Research result) -Article/Presentation at the congress論文・学会発表-:as of August, 2018
私はこれまで国内で多くの治験を含む臨床試験に従事する中で、医薬品の早期開発に強い興味を持ち、基礎研究と臨床開発の橋渡しが重要であると考えるようになりました。2018年1月よりシカゴ大学医学部に留学し、Gajewski教授の研究室で、既に一部のがんでは臨床に導入され、またさらに開発が進むがん免疫治療の基礎となる研究に従事しています。これまでにがんの性質を特徴づけたり免疫治療の効果を予測したりする分子に関する研究が行われていますが、がん免疫のメカニズムは複雑で未だ確立したものはありません。当研究室では、患者さんから提供されたがん組織(手術等で切除されたものの一部)を用い、種々の免疫細胞や免疫に関する分子の相互関係を検討することで、複雑ながん組織の中の免疫状態を明らかにすることを試みています。一方、近年、個々の患者さんのがんの遺伝子異常に基づき適切な治療薬を選択するゲノム医療の導入に向け開発が進められています。がん遺伝子異常の中には、その遺伝子異常自体を標的とした治療では有効性がないものの、がん組織における免疫状態に影響を与えるものが存在することが明らかとなり、一部のがん遺伝子異常はがん免疫治療の効果を減弱させる可能性が示唆されています。当研究室において、がん細胞や動物を用いた実験、及び患者さんのがん組織を用いて、がん遺伝子異常とがん免疫の関係について研究を進めています。がん免疫治療の有効性は多く報告されていますが、実際に有効な患者さんは一部に限られます。今後この研究が進み、がん免疫治療とがん遺伝子異常を標的とする薬剤を併用することで、がん免疫治療が有効な患者さんが増えることが期待されます。