喜多 久美子レポート

MOD Awardees Profile プロフィール

氏名:喜多 久美子
Name:Kumiko Kida,

現所属:Current working institution (Department / Section):Department of Breast Medical Oncology, MD Anderson Cancer Center

留学時所属:聖路加国際病院
Institution where employed when he/she went abroad for MOD:St.Luke’s International Hospital,

出身大学:横浜市立大学
Graduate school:Yokohama City University,

研修先(MOD institution):MDアンダーソンがんセンター 乳腺腫瘍学講座
MOD institution:Department of Breast Medical Oncology, MD Anderson Cancer Center

研究室(Laboratory at MOD institution): Dr.Ueno’s laboratory

メンター(Mentor):Dr. Naoto T Ueno. 上野直人先生

研修期間(Dates): 2017年10月〜現在October.2017-Current,

研究テーマ(Research theme):
 乳癌におけるPD-1阻害薬の臨床試験デザイン・トランスレーショナルリサーチ抗HER2療法の耐性機序
Clinical trial design and translational research of PD-1 inhibitor Mechanism of resistance to anti-HER2 therapy Trial design for drug development

研究成果(Research result) -Article/Presentation at the congress論文・学会発表-:as of August, 2018
2017年10月に渡米し、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター乳腺腫瘍科に現在在籍しております。日本で乳がん診療に携わってきた中で、同じ乳がんのタイプやステージであっても、同じ薬が効きやすい患者さんもいれば、効きづらい患者さんもいることを度々経験してきました。何がその違いをもたらしているのかについては、まだまだ解明されていないことが多いのが現状です。もし、どのような患者さんに、どの薬が適しているのかが事前に予測できれば、今以上によりよい治療が可能となるとともに、その方にとって不必要な治療と副作用を防ぐことができます。私が研究を続ける原動力は、がんとその治療による患者さんの苦しみを減らしたいという思いです。
現在、私は上野教授のもと、転移性乳がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の研究や、分子標的薬の抵抗性についての研究などを行っています。免疫チェックポイント阻害薬は、様々ながんにおいて注目されている薬ですが、乳がんでは長期間効果が続く患者さんと、すぐに効かなくなる患者さんがいることが、この研究でわかってきています。その腫瘍の遺伝子や免疫反応を調べることで、この治療に適しているのはどのような方なのかを研究しています。分子標的薬の抵抗性の研究では、特定の治療に抵抗を示した腫瘍の遺伝子を網羅的に調べることで、どのようなメカニズムがその治療の抵抗性に関係しているのかを研究しています。現在進行中ですが、今後臨床現場に還元できる可能性のある結果が得られてきており、日々奮闘しています。
上野研究室では、医師と基礎研究者が共同で研究に取り組んでおり、細胞などを使った基礎実験からわかったことを臨床に役立てるために発展させたり、逆に臨床現場で生じた疑問や課題を基礎実験で検証する、橋渡し研究が盛んに行われています。その手法や最先端の現状を学び、将来的にはそれらを日本のがん診療に還元したいと思っております。