9月7-8日、「リレー・フォー・ライフ・ジャパン2013芦屋」が阪神芦屋駅近くの芦屋市立川西運動場で開催されました。今年のテーマは「つなげよう芦屋から!続けよう未来へ!」で、芦屋での開催は2007年から連続7回目。日本で一番長く続いているRFLJとなりました。
時折強く降る雨の中、実行委員47名が午前9時に集合した後、中澤清浩実行委員長から会場設営、備品の搬出、展示物の準備などについて簡潔にテンポよく指示が下されました。そして実行委員が各持ち場に移動する前に、中澤氏から最後のメッセージが発せられます。「笑顔を忘れずに。初めての参加者を歓迎しよう」と。最後に全員手をつなぎ、この2日間の無事と成功を願いました。
その後、開催準備が淡々と進む中、午後2時からプレイベントの一つであるチャイルド・ケモ・ハウス関係者による講演会が始まりました。タイトルは『がんになっても笑顔で育つ!チャイルド・ケモ・ハウスの役割』。専門医が常勤するクリニックを併設し、「家のような空間」で家族と共に過ごせる、小児がんと闘う子どもと家族のための専門施設の説明に参集者は食い入るように聞き入りました。日本で初めてのこの施設は今年度中に神戸ポートランドでオープンする予定とのことでした。
もう一つのプレイベントはフットサルチームの地元デウソン神戸に在籍する鈴村拓也選手によるRFLJ芦屋への参加です。上咽頭がんを克服したサバイバーである鈴村氏は「治療中、自分の復帰のために応援してくれた全国の人に何か恩返しがしたい」といつも考えていました。たまたまチームの練習場近くにチャイルド・ケモ・ハウスがあることから、今回RFLJのステージで小児科専門医である楠木重範院長と一緒に、自身の闘病生活から復帰までのお話をしていただきました。その後、幼稚園から小学生までの子どもたちと一緒にフットサルを楽しみ交流を行いました。
そして迎えた定刻の午後4時、雨脚が強まる中、開会式が始まりました。「せめて最初のウォークの時だけは雨が止んでほしい」という参加者の思いが通じたのか、来賓あいさつが終わるころには雨はすっかり上がりました。午後4時半、いよいよサバイバーズウォークの始まりです。フラッグをもつサバイバーを観客が拍手で迎えます。それを受け笑顔がはじけるサバイバーが胸を張って歩みを続けます。その後、たすきはケアギバーに引き継がれ、今度はサバイバーが拍手でそれを迎えます。どのRFLJ会場でも名にするおなじみの光景ですが、いつでも心が温かくなる瞬間でした。
その後は時として強く降る雨の下、六甲おろし口笛応援団らによるミニライブ、白いキャンパスに描かれた木の幹と枝にウォーク参加者がスタンプを押し素敵な木に茂らせる「RFLの木」がスタート。ミナリエセレモニー、エンプティテーブルへと続きました。そして芦屋名物の走った周回数を競い、それに応じて寄付をしてもらう「キャンドルラン」やサバイバーズトークや患者と医療者の本音トークなど、もりだくさんの演目が定刻通り行われました。
夜通しで降り続く雨の中、2日目になり会場で夜を明かした参加者の疲れがピークに達した午前5時過ぎ、会場のいくつかのテントでガッツポーズが見られました。2020年のオリンピック開催地が東京に決まったのです。携帯電話の小さな画面を囲み、息をつめて見つめていた人々の表情がほころんでいます。あまりよいニュースが流れない日本に少しだけ明るい光が差し込んだようです。2020年の東京オリンピック開催が決定した時、RFLJ2013芦屋の会場で夜を明かしていたのだとよい記念になりました。
午前7時、最初のアクティビティーとしてラジオ体操が始まりました。壇上にはご当地のゆるキャラが勢ぞろい。中でも参加者の笑いをとったのは、全身がほぼ球形の京都の「まゆまる」が一生懸命体操に励む姿でした。飛んでもはねても体をねじっても球形ゆえ、どの動きもぎこちなくユニークで子どもたちの笑い声が会場に響きました。
体操の後は協賛企業からホットコーヒーが提供され、参加者一同、朝の一息を入れました。午前8時半、一昼夜続いたキャンドルランがゴールを迎え、その後ファイナルウォークへ続き、さまざまな思いを胸に秘めたサバイバーが万感の思いでゲートをくぐりました。
2日間、断続的に時には強く降る雨の中、献身的に動き続けた人々の姿が印象的でした。的確な行事進行を笑顔を絶やさずリードした実行委員、グランドにたまる雨水を絶えずかき出し走路を確保するボランティア、走り続けるランナーに夜通しで声援をかけ続けるチームなどです。厳しい天候の中、無事終了したRFLJ2013芦屋。「初めて来る人にも精一杯楽しんでもらいたい」という、おもてなしの心あふれる大会となりました。