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リレー・フォー・ライフと肺がん

2015年11月25日

今回はリレー・フォー・ライフ神戸の参加者からの原稿です。人間ドックがきっかけで肺がんが見つかったという古川さん。がんの患者会をきっかけにリレー・フォー・ライフの存在を知りました。神戸でリレー・フォー・ライフが始まったのは2014年、今年が2回目ですが、初回から関わり手探りで仲間とつくりあげました。

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第2回リレー・フォー・ライフ神戸、夜のHOPEを撮影したものです。

リレー・フォー・ライフに関わるようになったのは、肺がんの手術をした年の、年末からです。肺がん治療の後、「ひょうごがん患者連絡会」に入り活動しているときに、初回の開催情報を聞いて参加しましたが、最初は何のことやら、わけがわからず戸惑ってばかりでした。第1回のリレー・フォー・ライフ神戸は2014年6月に開催されました。半年前から実行委員が集まり、ああでもないこうでもないと会議や準備を行い、開催できたときは充実感と喜びで一杯でした。

リレー・フォー・ライフの3つのテーマとして、Celebrare・Remember ・FightBackがあります。このCelebrareというのは、実に味わいがある言葉です。
会場で、昨年会った方と再会しお互いの無事と健康?を「たたえあう」という意味もあるでしょう。会場のすべての方の、今生きていることを「祝う」という意味もあるでしょう。一番大事な、自分の生を「祝う」こともあると思います。
それ以外にも、リレー・フォー・ライフというイベントが今年も神戸で開催されたことを「祝う」ことも含まれるかもしれません。
この生きるということは、がんになるまでとなったあとでは、世界観がまるで異なります。がんになるまでは、昇進したいとかもっと収入を多くしたいとか、煩悩まみれで世俗的だったと反省しきりです。がんになったあとでは、毎日朝の太陽を見ることが「いとおしく」なります。日々季節の移り変わりを、犬の散歩のときに感じ、来年の桜・紅葉を楽しみにする。ちょっとは高尚になったかもしれません。

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2014年、第1回リレー・フォー・ライフ神戸のサバーバーズウォークです。
先頭でたすきをかけているのが古川です。<>/p

ここで私の経験を述べたいと思います。平成25年に人間ドックを軽い気持ちで受けました。そのときの最後に医師の診察があり「右肺に陳旧性肺病変を認めます。1ヵ月後に再検査して下さい」と言われました。私自身が放射線技師であり、今まで健診も受けているし年に1回は胸部写真を撮っているのに、そんなこと言われたことがありません。人間ドックの医師の診察が気にかかり、自分でおかしいなと感じて、CTを撮ってもらって肺がんがみつかりました。手術が終わってから、職場の毎年の健康診断を調べると、2年前の健康診断の結果の胸部X線所見欄には「右上葉 斑点硬化影」とありました。健康診断報告書トップの診断指示には、食事と運動に注意をしてくださいと、メタボに関する指摘しかありません。検査データや心電図・胸部X線写真まで読んでやっとわかるような、後ろのほうに胸部X線所見が書いてありました。ただ、2年前にこの指摘をされても、精密検査まで受けようとは思わなかったと思います。今回にしても、たまたま気にかかったので、病院を受診しましたが、健康診断や、がん検診の軽い指摘で、病院を受診し適切な処置に至るのは、運もあるし本人の健康に対する関心の深さも大事かなと思います。検診で早期に見つかり、その後精密検査を受けたとしても、早期がんほど手術等の強い治療を勧められるわけですから、若くて元気な時・仕事が忙しい時に治療に踏み切るには、がん教育が大切だと思います。

がん患者会というのが、全国にあります。乳がんの患者会とか、子宮がんの患者会とか、そのがん特有の悩みとか相談したいことを、お互い情報交換したり話しあったりする会です。
その中で、肺がんの患者会も北海道・三重県・福井県・神奈川県などですでに発足しています。近畿でも、2015年10月30日に何人かが集まって、話をしました。抗がん剤の悩み、今後の治療の不安、新しい薬への期待・・・・等々、話は尽きませんでした。このような、肺がん患者会を近畿でも立ち上げたいと思っています。皆様のご協力をお願いします。

2016年第3回目のリレー・フォー・ライフ神戸の準備が始まろうとしています。リレー・フォー・ライフ神戸の歴史と、私の肺がんの術後の年数は同じです。今年2回目が終わり、手術後2年が経過しました。これからも神戸のリレー・フォー・ライフが長く続き、私もそれに参加し続けることが、これからの目標です。

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プロフィール
古川 宗
大阪市生まれ。60歳、神戸市在住。
平成25年、人間ドックを契機に肺がん(腺がん)が見つかり、右上葉切除術を受ける。
VATS ( Video – Assisted Thoracic Surgery )手術を受け、5日間入院。
手術で、2×1.7×1.5cm のがんを摘出。
気管支・肺動静脈断端にがん細胞はなかった。廓清されたリンパ節に転移はなく、cT1aN0M0 , Stage ⅠAと診断。EGFRの変異が検出されず、イレッサの適応がないことがわかる。手術後化学療法はせず、経過観察をしている。
手術が終わって、1ヵ月後にひょうごがん患者連絡会に入会。
リレー・フォー・ライフ神戸の立ち上げを知り参加する。