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2025年05月27日

「春の香り」を観ました

「春の香り」を観ました(2025年5月27日)

 「えっ『春の香り』広島でも上映するのだ。よし、観に行くぞ!」フェイスブックでお知らせを見て驚くと同時に決断した。広島と言っても広島市八丁座だ。府中市からはちょっとあるが、原作を読んでいるだけに観に行きたい。

 「春の香り」とは小学校六年の時、悪性脳腫瘍に侵され享年十九歳で旅立った漫画家志望の女性を基にフィクションで描いた映画。
両親が記した書籍「春の香り」を読んで感動した私としては観に行きたいのは当然。

 五月十七日(土)だったか、舞台挨拶があった日は予約で満席だったそうだ。でも、平日なら大丈夫だろうと思い、二十日(火)に行くことにする。クレジットカードを持っていない私は予約席がとれない。

 当日八丁座に着くと、対人でチケットを購入。普段観に行っている福山では機械で購入しているので新鮮に感じる。こぢんまりとしているが、品のある映画館という雰囲気。

 さて、映画が始まった。まずはハルカが通信制高校に転入する日から始まった。母に車で高校の前まで送ってもらい、教室へ。昼食時、一人で食べようと思い屋上へ行くが、そこでハルカが画いている漫画の主人公と同じ名前の彼と出会う。それも、ハルカの持参した弁当は父の弁当、それを見た彼は「いい弁当だな」恥ずかしくて弁当を隠して食べる。

 こういうところはまさに青春ストーリー。明るく観やすい展開だ。そして徐々に自立への道を進もうとするハルカ。母に送ってもらうのではなく、電車通学に。アルバイトも始める。

 ただ、彼は将来映画監督になりたいという。そしてハルカの漫画を映画にしたいというがいつまで生きられるかわからないハルカはそれを断る。

 だけど、悪性脳腫瘍が再発。難しい覚醒下手術を行う。「何が何でも生きたい」と願うハルカはリハビリを続ける。そしてそれを支える両親・姉の家族。

 そんなハルカだが、発作により、意に反した行動をとるハルカ。突然自死しようとする。それに気づき家族全員で抑え込んででも止めようとする。

 ハルカが「平凡に生きることは平凡なことではない。生きているってことは奇跡のようなこと」といったのはとても印象に残る場面だ。

 また、春香さんが残した言葉

 「不幸とは幸せだと気付かないこと、

 敗北を認め大いに楽しむこと。

 どんなところにも美しいものはある。

 それこそが運命。」

も大切な言葉。ジーンとくる。なんでこんな人が十八歳と数か月で亡くなったのか。もっと生きていたら漫画で、言葉で胸を打つものを残しただろう。

 ところで、この映画のプロデューサーは堀ともこさん。どこかで聞いたことのある名前だと思っていたが、堀さんは私が生まれて住んでいる府中市を舞台に「一番逢いたい人」という映画のプロデューサー。何か縁を感じる。今回も春香さん家族の生活の場である愛知県江南市を舞台に作成されている。

 この映画、ハルカさんは悪性脳腫瘍で発見から平均余命十五か月と言われている悪性のがん。私はスキルス胃がんであり、わかった時は手術を行うことは無理。まずは抗がん剤による治療。効かなかったら余命三か月だった。そして抗がん剤の効果で手術できるようになり、手術を行ったが、「五年生存率は十%程度かな。症例が少ないのではっきりとは言えない」と言われた。ハルカさんと思いが通じる場面もあるが、今年の八月で術後十九年を迎える。

 思い返してみると、私も家族には支えられた。妻や娘は付き添いに病院に来てくれた。息子、そして八十歳を超えていた両親もお見舞いに来てくれた。ありがたいことだ。

 「自分はもっとしっかり生きなければ。そしてがん患者の支援活動もできることはやりたいな」と思わせる映画だった。