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2023年04月15日

がん友のエッセイ

素晴らしい先輩(2023年2月15日)

 私らしく生きるための五カ条
一、自分を丸ごと好きになる
二、自分のテンポを守る
三、一人時間も大切
四、口癖は「上等、上等」
五、何気ないことをいとおしむ

これは石井哲代さんの著書「一〇二歳、一人暮らし。」から引用した文章だ。石井さんは府中市出身、つまり私の先輩といえよう。だけど、この本は中国新聞に紹介されて初めて知った。

 二六歳で結婚。教員であり、農家の嫁。子だくさんが当たり前の時代にこどもができなかった。夫に先立たれ、今は一人暮らし。「しんどい時があったからこそ、肩が軽くなった今の暮らしが喜びに満ちているのかもしれない。自分で自分をほめてやらないといけん」といわれる。

 一〇〇歳以上ですから、若い時と同じようには働けない。自分のテンポを大切にしたいと思われる。

 おしゃべりしたり、わいわいしたりするのも好きな人だが、一人で過ごす時間も大切。充電の時間と思えばよい。

 「何事もいいようにとると気持ちが高揚する」と言われる。全くその通り。そのためには「上等、上等」といつも考えることがよい。

 「特別なことのない毎日でも、まめで暮らさせてもらえる一日一日が自分にとっては上等」と言われる。

 私はエッセイを記しだしたのは「『平凡だけど大切な出来事を忘れたくない』そういう思いを文章にしておけばよいのでは」と思って記しだしたが、最近はなんだか行事があった時だけという気がする。だから五は私に取り、とても大切なことだと思う。

 次に哲代さんが大切にしている「健康で長生きするための八つの習慣」を紹介したい。

一、朝起きたら布団の上げ下ろし
  わざわざジムに行かなくても運動できます

二、いりこの味噌汁を飲む
  うちにある動物性食品です。

三、何でもおいしくいただく
  ごはんの量は一回二膳が基本。一人の食卓でも「いただきます」「ごちそうさま」は欠かしません。

四、お天気の日はせっせと草取り
  雑草で荒れると家や畑がかわいそうな気がします。

五、生ごみは土に還す
  みかんの皮や野菜くずを肥料袋にためて堆肥を作ります。

六、こつこつ脳トレに励む

七、良英さんと会話する
  二十年前に見送った夫の良英さんの写真を枕元に置いています。

八、柔軟体操をする
  思いついた時に柔軟体操をします。体のあちこちを延ばすと気持ちええです。

 今も「先生」と言われ、生徒たちが訪ねて来るという。本当に読んでいてほっこりする。私の文章を記すより、哲代さんの文章をそのまま載せるほうがよいと思う。それにしても、百歳を超えているのに、しっかりしているな。これだけの本が書けるなんて。認知症は全く感じさせない。

 哲代さんの本、私の母(九十五歳)にも紹介したいと思う。時々読んでみたい。そのためにもこのエッセイは役立つだろう。

 この本をもう一度紹介する。「百二歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方」著者 石井哲代 中国新聞社
発行所 株式会社 文芸春秋