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2023年04月15日

がん友のエッセイ

音楽は素敵だな(2023年2月28日)

あ もう令和五年なのだなあ。だけど、二月二十三日が天皇誕生日だなんてぴんと来ないなあ。天皇誕生日といえば十二月下旬のような気がする。

 それはともかく、今年の二月二十三日「広島・ホスピスケアをすすめる会」主催『人生の卒業は「命の音」に包まれて』に参加した。

 この行事に参加した理由は二つある。まず一、私はがん患者の支援を行っているので、地域のがん患者さんから相談がある。またインターネットで私のエッセイを読み、「メールでやり取りしてください」という患者さんもいる。

 だけど、そうした人の中には、進行がんのため病院で「もう治療法がない」と言われた人がいる。もちろん私は医師ではないので、医療的なことはアドバイスできないが、生活面では何らかのアドバイスをしたり、自分のがん体験を話したりすることがある。だけど、何か物足りなさを感じていた。そこで人生の卒業について学べるなら、参加したいと思った。

 二、最近はコロナ禍で、ズームによる研修が増えた。それは自宅で一人だから隙が出るのか、途中居眠りをすることが増えた。そこで「広島まで行き、会場で研修を受けるということは、今の私に取り有意義なのでは」と思った。

 さて会場広島市総合福祉センターに行く。「へー皿海(サラガイ)さん。こんな名前もあるのですね」と言われ受付をすます。

 講師は佐々木幸枝さん。職業は看護師であり、ケアマネージャー。三年前、がんでご主人を亡くされた。まずはご主人の経過。2015年直腸がん発症。2019年入院。入院までは仕事に行っていた。そして通院で治療を行っていた。

 札幌在住で、相手に合わせて即興演奏をされるピアニスト有本紀さんに出会い、面談後パーソナルCDを作成していただいた。それは二十分主人の曲、十分奥様の曲、十分二人のための曲という四十分の曲だった。そのCDを聞くと、苦しみが音と共に溶けてゆく感じだったといわれた。

 「人は必ず死んでいく。人生の卒業をどう迎えるのか。人生の卒業のためにできることは何でもやってみよう」と奥様は思われた。

 そこで「思い出作り大作戦」を行った。・会いたい人に会う ・生きたい所へ行く ・食べたいものを食べる

 また、住宅改修を行ったが、なぜやりたかったか。ご主人が転倒してはいけない。あとわずかというのはエネルギーが少ないということ。「ご主人のエネルギーを最大限使いたいところに使ってほしい」と思われた。

 入院中のある日、ご主人は危篤状態になる。脈拍も血圧も測定不能となり、医師から「あと一時間くらい」と言われた。だけど有本さんが急遽札幌から病室に来られ、一時間くらい演奏をされた。

 演奏が終わった時は、脈拍も血圧も測定できるようになり、よみがえった。よみがえったご主人とその夜は一緒に過ごすことができた。

 翌朝、また脈拍が測れなくなったが、演奏をしていただくと測れるようになり、二日目の夜も二人の時間を過ごす。

 三日目の朝も脈が測れなくなり、演奏をしていただいたが、ご主人は静かに息を引き取ったという。その際、穏やかで一筋の涙を流して静かにこの世を去ったという。

 佐々木さんは終わりにあたり、当事者の方に・大変なことではあるが、一人ではない ・がんの方は余命を告げられるが、その際人生の卒業をどう考えるかを考えてみては

 また、家族には・目の前のこと、これから先の不安を周囲に伝える ・誰かが力になり、提案をしてくれる ・音は最後まで聞こえるので言葉をかける など提案された。

 また、会場で、RFL広島の実行委をされている方数名とお会いできうれしかった。やはりズームでなく、会場で多数の人と共に研修を受けると、緊張感もあり、知り合いに会うこともあり、最後まで居眠りせずに学ぶことができ、うれしかった。

 今日の研修、知り合いの音楽療法師に伝えてみたいな。