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2023年05月27日

がん友のエッセー

    空を見上げてみたいな(2023年5月21日)

 「私は空を見上げているかなあ」今日(五月十八日)絵本の会に参加してそう思った。最近空を見上げるといえば、ジョギングに出るとき、曇っていると西の空を見上げ、「いつ頃から降るかな」と気にかけコースを考える時くらいかな。

 今日の絵本の会は空の話三冊だった。まずは「きょうのそらはどんなそら」ふくだとしお ふくだあきこ著 夜明けから日が沈むまでを、猫の目を通してゆったりと描いてある。

 一冊目の後は自己紹介。「どんな空が好きかも加えてください」司会者の声。「私は夏の朝焼けの空が好きです」と答える。これから暑くなるのだろうが、一瞬の気持ち良い感じの空が好き。

 東京の方「富士山が見える冬のきりりとした空が好き」という方がいた。私は富士山といえば、静岡県御殿場市の御殿場荘(難病者の会合宿所)に行ったとき、起床すると富士山が見えるほうをよく見ていたなあと思い出す。

 ほかにも「夏の入道雲の空」「虹の見える空」「夕焼けの空」など色々出てきた。そうだよな。色々ある。「星空が好き」というのもいいなあ。

 「空をつくる」村尾亘著 絵本の絵を見ていると「なんだか尾道ガウディハウスみたいでかっこいいな」と思っていたが、内容を聞いていると考えさせられた。街中に建つ家、「もっと服が欲しい」「帽子が欲しい」とほしいものがたくさんあるので、「部屋も欲しい」ということになり、家を高く作る。そうすると空が見えにくくなり、なんだか変と気づく。

 そこで、思いついて猿の絵かきさんにそれぞれの家壁に空の絵を描いてもらう。「きれいになったね」と喜んでいたが、鳥が空と思って飛んできてそれが壁だったので、ぶつかり倒れる。
 絵描きの猿もたくさんの家の壁に青空の絵を描いたが、「何か変」と気づき、街を出ていく話。

 この話を聞いていた時、思った。「どんな空が好きですか」と最初の絵本を紹介した後、司会者は聞いた。それに対して色々多様な空が語られた。それなのに青空だけでいいのかな。仮にいろいろな場面の空を描いたとしてもそれでいいのか。

 もっと本質的な解決法を探す方がよいのでは。空が見えるように、この地域は何階建て以上建てないようにしようよといった話し合いがあってもよかったのでは。

 そして街中だからこんな話になるのかな。わたしたちの近所では、「二階建ての家を建てたが、子供は家を出て、高齢者ばかり。二階は不要になってしまった。物置となり時々上がるだけ。できれば整理したい」という会話をよく聞く。

 ただ、昨今は解体するにしても、作業費が高い、木造部分、金属部分等種類別に分けて廃棄するので所費が高くつく。アスベストでも使用しているとこれまた高くつく。「たやすく解体して小さく建て替えるのも難しい」といった声が多い。
絵描き猿さん、街を出るときの表情が一番よかったという思いあり。

 「そらはあおくて」シャーロット・ソロトウ著杉浦さやか(イラスト)なかがわちひろ(翻訳)

 小さな少女が主人公。お母さんもそのお母さんも、そのお母さんもみんな昔は小さな女の子。古いアルバムを見ながら教えてもらった物語。「お洋服、今の者とは違うね。家の飾りも違う」でも、当時の女の子は好きだった。それを教えてくれ、抱きしめてくれた。それを繰り返してきた。背景にあるそら、太陽などがきれいに描かれている。

 心が温まる絵本。いいなあ、こういう話。時代が変わって流行が変わっても、変わらず大切にしているものがある。大切にしなければいけないものがある。それを教えてもらう女の子。

 「同じ絵本でも、子供のときに読んだのと、大人になって読んだのでは違う感じ方をするものがある」という感想があった。それに対しては府中市民病院大人の絵本コーナーに記してあった文章を書いてみる。「人生経験のある大人だからこそ、感じるものがある」

 今日の絵本会を終え、明日からは日に一度、空を見上げてみようと思った。良い意味で気分転換ができるはず。