*** マイストーリー ***
香留美菜さん(RFLJとくしま実行委員 ケアギバー)
2009年に単身赴任先で元気に過ごしていたはずの父が体調を崩し、数週間後には病院で肺がんの診断がおりました。勤務地での入院生活を経てから、地元徳島へ戻り療養生活を送りました。最後は自宅で亡くなりました。その過程は優しい思いばかりではない苦しさや憤る気持ちも多く、父が亡くなったあとは「もっと出来ることがあったのではないか」と感じる日々でした。
父の療養中にふと耳にしたリレー・フォー・ライフのことを思い出し、準備中の実行委員会へ参加してみました。すると、そこには父と同じくらいの年齢で、病状も似ている男性がいて、その方から体調や日々のこと、ご自身で出来ること、出来ないこと、不安だけど口に出せない思いなどを聞きました。私はその方を通して、父の気配を感じるような気持ちになりました。そしてまた、私の思いも父に届くような感覚になりました。
リレー・フォー・ライフはこんな風に日々の思いを語り合うことが出来る場所なのだと感じた瞬間です。私の住む地域でもリレー・フォー・ライフがあったらいいなと思い、日本対がん協会の方に相談し2012年にリレー・フォー・ライフ・ジャパンとくしまは初開催を迎えました。
がんという病いが世の中に正しく理解されず、秘する環境にある方が未だ多く存在します。そのためがんサバイバーやケアギバーにとっては治療に加え社会的な葛藤を生む場面もあります。
リレー・フォー・ライフを通してさまざま方が集い、がんを取り巻く社会がどうなっていくのが良いのかを、共に考えていくことは寄り添い支え合っていける社会をつくるきっかけになると思っています。
また、リレー・フォー・ライフの活動のなかでは普段聞くことがないサバイバー、ケアギバー、そして医療者、研究者が感じる思いを知ることがあります。リレー・フォー・ライフは私たちが「がんになっても安心して過ごせる社会」をつくるために同じ方向を向いて歩んでいることを実感できる大切な場所だと感じています。