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【但馬】周辺自治体が広く連携 絆深まるドームリレー

10月5-6日、「リレー・フォー・ライフ・ジャパン2013但馬」が兵庫県養父市の全天候型運動場、いきいきドームで開催されました。DSCN1841-001最寄りの駅は京都から山陰本線で約2時間の八鹿(ようか)。近くには朝来(あさご)、養父(やぶ)など難しい読み方の地名が続く1000メートル級の山々の中に会場がありました。DSCN1871-001
なぜ全天候型のドーム運動場がこのような所にあるのか尋ねると、冬の間、雪が降り積もり運動ができないので、それを解消し体力維持を図るために作ったと地元役場の方が教えてくれました。また現在但馬は兵庫県北部を指す地域名として用いられているが、かつては日本の地方行政区一つだったそうです。
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そんな辺鄙な山奥で開催されたRFLジャパン但馬ですが、会場準備は短い時間で済みました。ドームにはステージがすでにあり、通常苦労するテント設営がないのです。ブースのパーテーションを立て、机と椅子を配置し、後はウォーキングコースをラインで引くだけでした。屋内が会場だと開催準備が簡素で、実行委員の負担も軽くて済みました。

そして迎えた5日の開会式。あいにく小雨が降っていましたが、時間通り始まりました。そのことをRFLジャパンの公式フェイスブックにあげると、ある実行委員長から、すぐに書き込みがありました。「うらやましい!」と。その委員長の会場は開催2日目、台風に伴う暴風雨で開会式を早めたところでした。屋外のリレーの開放感は捨てがたいのですが、天気だけはどうすることもできません。今後開催地を選ぶ際、但馬のようなドーム会場も有力な候補地として挙げられそうです。DSCN1880-001
RFLジャパン但馬の特長は地元の行政が非常に協力的なことです。会場のある養父市長をはじめ市会議員、市役所の健康福祉部長など18人もの来賓が開会式に列席しました。また近隣の6つの市町村がチーム参加。それぞれのブースでは患部別のがんについてパネルを使いながら、職員が活発に啓発活動を展開し、来場者も熱心に耳を傾けていました。DSCN1882-001
本来リレーは行政の力に頼ることなく地域で立ち上がった実行委員会を中心に参加チームを募り、自主的に運営するものです。発祥地アメリカではそれが自然な形として定着しています。しかしまだまだリレーの知名度が高くない日本では、今回の但馬のように行政の力を借り、町おこしの一環として開催するのも一つのあり方かもしれません。そのことにより地域住民はリレーへの参加が促され、がんに対する意識が高まり、がん検診率の向上につながることが期待されます。DSCN1872-001
開会式後、サバイバーズラップが始まり、リレーウォークがスタートしました。昨今では各地のリレー会場でおなじみご当地ゆるキャラも一緒に歩きます。DSCN1864-001DSCN1859-001DSCN1866-001その後、フラダンス、漫談、トークショー、医療講演が続き、会場に集まった人たちを楽しませてくれました。DSCN1883-001DSCN1893-001
山あいの会場の日暮れは早く、午後5時過ぎからルミナリエのろうそくに明かりが灯りました。いつものように一つひとつ見て回ります。いつものように胸が熱くなります。その中の一つのルミナリエの前で動けなくなりました。
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「神様へ あと1年でいいから生かせてください。娘が小学校に入学します。奇跡を信じたい!心からありがとう。支えてくれて」この人は今、どんな状態なのか。支える家族はどんな気持ちでいるのか。切ない思いがこみ上げてきます。まもなく小学校へ上がる娘さんにいつまでも寄り添うことができるよう、早くがんをコントロールできる日がやってきてほしい。切実に思いました。

追悼セレモニーが終わり、夜はさらに更けていきます。会場を離れるとあたり一面は真っ暗闇、道路を照らす照明もありません。地元の人いわく「ここらは野生動物の宝庫だよ。鹿、たぬき、イノシシはよく見かけるし、熊だって時々出没する」とのことです。どうりで会場周りの芝生が鉄線で囲まれているはずです。野生動物が芝生を荒らすのを防ぐために、時々電流を通しているそうです。

翌日は朝の体操から始まり、地元のアマチュア歌手の懐かしい青春ソングの熱唱や地元大学生による、よさこい踊りが披露されました。DSCN1910-001
正午にはトークショーが始まり、サバイバー、ケアギバー、食べ物を通してがん対策を推奨する主婦、町会議員ら5名が自分の経験を通し、それぞれの立場から今後のがん対策について意見を述べました。
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午後2時、閉会式では養父市長がもう一度、健康長寿のためのがん検診の大切さと地域連携の重要性を訴え、幕が閉じました。 DSCN1945-001その後、最後まで残った100名近くの参加者はドームに隣接する芝生広場に移動。晴天の下、催事の際の地元の風習である「おもちまき」を行い、記念写真を撮り、また来年の再会を約束してお別れました。
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RFLジャパン2013但馬の2日間の参加者は述べ1000人を切る小規模のものでした。しかし周辺の自治体あげての協力のもと、がん対策の重要性が参加者の心に深く刻み込まれたようです。ここ但馬の地でRFLが地方での有力ながん啓発活動の一つであることを証明した大会となりました。