さようなら ラブラン(2024年2月13日)
「あれ、夕食は寿司なのか」冷蔵庫を開けると寿司のセットが置いてあるのを見て思った。明日二月十一日は「神戸バレンタインラブラン」に出場。いつもの捕食はパンが多いが、明日は腹持ちのよい寿司にしようかと思っていた。幸い、いなり寿司はないので、今晩いなり寿司を買っておこう。
何年前になるかな。神戸で看護学生に私のがん体験を語っていた時、学生から希望が出た。「皿海さんの考え方、生き方を支持します。だからお願いです。神戸のロードレースも参加してください。ユニークな大会もあります」
そこでいろいろ調べ、「神戸バレンタインラブラン」に参加することにしている。もう十回は参加したような気がする。ただ、その後看護学生に指摘された。「二月は看護師の国家試験があります。皿海さんの話を聞いた現役学生は参加しないと思います」
「まあいいや。資格を取り、数年後参加する看護士が出てきたとき、私がいると励みになるかもしれない」と思い、参加を続けている。私とわかるよう、初期は「スキルス胃がんに負けないぞ」そして途中から「スキルス胃がんを乗り越えて」と記したゼッケン着用で出場だ。
十時ポートプラザ市民広場に到着。まずは着替え。今日のウエアーは黒い長袖TシャツにRFL広島の黄色い半そでTシャツ。陽射しはあるが、海が近いので風があり肌寒い。まあ走り出したらこれでいい。
十キロの部出場者の集合は十時三十分。参加すると準備体操。最近のヒット曲に乗せて体を動かす。知らない曲だし、アップテンポで置いていかれる。でもしっかり身体を動かしておこう。
十一時スタート。少し前にスマホのジョグアプリにスタートボタンを押す。混雑するので最初はゆっくり、ばらけたら徐々にスピードを上げよう。だけど、完走後にアプリを見ると、いつもよりペースが速い。これだから時には大会に出なくちゃあ。自分だけのジョグではペースが遅くなりやすい。
ばらけたところで、二名の若い女性に抜かされる。猛スピードだ。服装が同じなので覚えやすい。今は十キロを一時間前後で走っているが、若い時は三十八分前後。彼女たちのスピードだったかな。
神戸の海岸近辺をコースに取ってあるので、高いビル街を走る箇所が多い。途中ボランティアの若い女性四~五人が「がんばれーオウ!」と声をそろえて応援している。こういうのは元気が出る。
あれ!初めのころ、私を追い抜いた若い二人の女性に出会い、追い抜く。この二人、なんで私に追い抜かされるの、十キロを走るペースを知らないのかな。そういえば、私はペースを上げていないのに、だんだん抜いていく。誰か私の走りを「最近は特に早いとは見えないが、安定している」といった人がいる。ペースが落ちた人たちを抜いているのかな。
ポートタワーが見える海岸、ここに最後の給水所とトイレがある。ラスト二キロ地点に近い。そこで、いつものレースならラストスパートのつもりでペースを上げるのだが、今日は自重。
いよいよラスト一キロ地点。ここで今日はラストスパート。今までは車道の片側コースだったが、この先は歩行者道となり、今までより狭いところもある。ここでスパートしておかないと抜きにくくなる。
よし、いいペースだぞ。この先は上り坂、練習を積んでいる私は「上り坂は得意コース」という意識がある。うん、いいペースというかどんどん坂道で追い抜く。最後が下りだから、転ばないようによく道を見て走ろう。「七十歳以上はよそ見していると転びやすい」というからな。
ゴールする。参加賞のスポーツドリンクとモゾロフのチョコをいただく。コロナ禍前は男性には蘭の花一輪、女性はチョコだったが、昨年からか男女ともにチョコ。これも蘭の花とチョコを交換する人を探すのが難しいことに主催者も気づいたからか。それとも「LGBT」あるいは「SOGI」という言葉がマスコミによく出るようになったからか。
さて、速報を見ると私は五百三十五人中、四百番。覚えやすい順位だ。
ところで私も七十歳を超えて収入が少なくなる。いつまでも今の状況で職に就けないだろう。そろそろ神戸のラブラン、卒業してもいいころかもしれない。もっと近くのロードレースを探し、そちらに出場するのも一方法。趣味のジョグは続けるが、遠方に出かけての大会はもう卒業してもいいのかな。以前は東京や神奈川の大会にも出場したこともあるが、何年か前からやめている。